治した歯がまた虫歯になる原因は?
詰め物の下で起こること【市川】
「前に治した歯が、また虫歯になっていますね」。検診でそう言われて、腑に落ちない気持ちになった方は多いはずです。治したのだから、もうその歯は大丈夫だと思っていた。それなのになぜ、という疑問はもっともです。市川の当院でも、ご家族で受診される方から同じお話をよく伺います。
治した歯がまた虫歯になる原因は、歯そのものというより、歯と詰め物や被せ物とが接している「境目」にあります。この記事では、境目で何が起きているのか、なぜ気づきにくいのか、そして負担をかけている三つの要素を整理します。ご自身やご家族の治療済みの歯を、どのくらいの間隔で見ておけばよいかを決める材料としてお使いください。
「また虫歯になった」とき、
歯の中で何が起きているのか
主役は歯と人工物の「境目」
厚生労働省のe-ヘルスネットは、大人のむし歯の特徴の一つとして「むし歯の治療に用いた歯の詰め物の裏側のむし歯」を挙げ、「歯の詰め物と歯との間に隙間があると、細菌が進入してしまう」と説明しています(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「大人のむし歯の特徴と有病状況」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-003.html )。歯科ではこの状態を二次う蝕と呼びます。
詰め物や被せ物そのものが虫歯になるわけではありません。人工物は溶けませんし、細菌の材料にもなりません。問題は、人工物と歯という性質の違うものが接している一本の線です。この線は治療の直後には非常にぴったりと合っていますが、時間の経過や日々の力によって、目に見えないほどの隙が生じることがあります。そこに細菌が入り込めば、あとは歯の側で虫歯と同じことが起こります。
もう一つ知っておきたいのは、境目に汚れがとどまりやすい状態が、治療の前から続いている場合があるという点です。もともと歯と歯の間や歯ぐきに近い場所に虫歯ができた歯は、治療のあとも同じ位置に境目が置かれます。清掃の届き方が変わらなければ、条件はそのまま残ります。治療は虫歯を取り除く行為であって、その歯の置かれた環境まで作り替えるものではない、ということです。
見えないところで進むという特徴
この場所が厄介なのは、進んでいる場所が人工物の下にあるという点です。表面からは詰め物しか見えませんから、色の変化としては現れにくく、鏡で確かめることもできません。神経が生きている歯であれば、しみるといった感覚がきっかけになることもありますが、以前の治療で神経を取ってある歯では、その手がかりも期待できません。
結果として、気づいたときには最初の治療より広い範囲を扱うことになりやすいのが、この種の虫歯の特徴です。「同じ歯を何度も治療している」という感覚の背景には、この流れがあります。逆にいえば、境目の状態を定期的に見ておけば、扱う範囲を小さく保てる可能性があるということでもあります。
境目に負担がかかる三つの要素
要素1|段差とすき間
人工物と歯は、材料も硬さも違います。どれほど精密に作っても、境目は完全に一体にはなりません。この線にわずかな段差があると、そこに汚れが引っかかり、歯ブラシの毛先ではかき出しにくくなります。とくに歯と歯の間や、歯ぐきに近い側に境目がある場合は、道具が届きにくい場所と重なるため、条件が厳しくなります。
もっとも、段差があれば必ず虫歯になるわけではありません。境目が舌や頬のよく触れる面にあり、唾液が行き来していれば、多少の引っかかりがあっても汚れは長くとどまりません。問題になるのは、段差の存在そのものより、その段差がどこにあるかです。
要素2|噛む力
奥歯には、食事のたびに大きな力が加わります。歯ぎしりやくいしばりのある方では、その力が長時間続きます。人工物と歯は力の受け方が異なるため、境目にはわずかなたわみやずれが生じます。これがくり返されると、接着している部分が少しずつ緩んでいくことがあります。硬い物を好む方、朝起きたときに顎のだるさを感じる方は、この要素が大きいことがあります。
力の影響は、境目だけに現れるわけではありません。人工物の縁が欠ける、対になる歯がすり減る、といった形で表に出ることもあります。噛み合わせの当たり方が以前と変わったと感じたときは、境目の状態もあわせて見ておくきっかけになります。
要素3|年数と口の変化
接着に使われる材料にも、噛み合わせにも、年数の影響は出ます。加えて、歯ぐきの位置は一生同じではありません。歯ぐきが下がると、それまで歯ぐきの中に隠れていた境目が口の中に現れ、汚れが直接触れるようになります。同じ詰め物でも、入れた当時と十年後では、置かれている環境が変わっているということです。
| 要素 | 境目で起きていること | 自分で気づける手がかり |
|---|---|---|
| 段差とすき間 | 境目で起きていること:わずかな引っかかりに汚れがとどまり、毛先ではかき出せない | 自分で気づける手がかり:フロスが同じ場所で毛羽立つ、舌先で段差を感じる |
| 噛む力 | 境目で起きていること:力のかかり方の違いでたわみが生じ、接着が緩みやすくなる | 自分で気づける手がかり:噛んだときの違和感、詰め物が浮いた感じ、以前と当たり方が違う |
| 年数と口の変化 | 境目で起きていること:歯ぐきが下がって境目が露出し、汚れが直接触れるようになる | 自分で気づける手がかり:ふちに沿った色の変化、境目のあたりに冷たいものがしみる |
三つの要素は、どれか一つだけが働いていることは少なく、たいていは重なっています。手がかりの欄に当てはまるものがあっても、それだけで判断はできません。人工物の下は見えないため、確認にはレントゲンなどの検査が必要になります。
この三つを並べると、治療済みの歯を守るという作業が、単に「よく磨く」だけの話ではないと分かります。境目の位置に合わせて道具を選び、力のかかり方を見て、年数とともに変わる環境に合わせて確認の間隔を調整する。手を入れる場所が複数あるぶん、打てる手も複数あるということです。
材料の違いはどう関わるか
「素材を変えれば起きないのか」というご質問もよくいただきます。材料によって境目の合いやすさや、汚れの付きやすさに違いがあるとされていますが、どの材料でも境目そのものはなくなりません。材料ごとの特徴や選び方は審美歯科のページでご説明していますので、そちらをご覧ください。ここでお伝えしたいのは、材料の選択は条件の一つにすぎず、境目を守る手入れと確認が前提になるという点です。
市川で治療済みの歯を守るなら
点検の間隔と確認の仕方
治療済みの歯が増えるほど、境目の数も増えていきます。すべてを毎回詳しく調べるのは現実的ではありませんので、当院では次のような考え方で優先順位をつけています。
- 入れてから年数が経っている歯、とくに十年以上前のものから見ていく
- 歯と歯の間や歯ぐきに近い側に境目がある歯は、間隔を短めにする
- 歯ぎしりの跡がある方は、力の当たり方もあわせて確認する
- 神経を取ってある歯は症状が出にくいため、画像での確認を組み合わせる
- 気になる感覚が出た歯は、次回を待たずにその時点で見る
点検の間隔そのものは、治療済みの歯の本数や境目の位置、これまでの経過によって変わります。半年に一度で十分な方もいれば、三か月ごとに見ておいたほうがよい方もいます。一律の数字を決めるより、いまの口の状態を見て決め、次の来院までに何を見ておくかを共有しておくほうが実用的です。
ご家族で来られる場合は、それぞれの治療歴が違いますので、確認の間隔も別々になります。同じ日にご案内できても、内容は一人ひとり変わるとお考えください。
そよらリーフシティ市川の2階、JR市川駅南口から徒歩7分ほどの場所で診療しています。シティデンタルクリニック そよらリーフシティ市川の体制は次のとおりです。
- 休みなく夜20時30分まで診療しているため、お仕事や学校の後にご家族でお越しいただけます
- お口全体のレントゲンと歯科用CTを備えており、人工物の下の状態も画像で確かめられます
- マイクロスコープで境目を拡大し、いま手を入れるべきか、経過を見てよいかをご説明します
- 過去の画像が残っていれば並べて比較し、この数年で変化があったかを一緒に確認します
- ご予約の受付は24時間動いており、WEBでもLINEでもお申し込みいただけます
神経の治療を受けた歯の再発が心配な場合は、根管治療のページもあわせてご覧ください。
よくある質問
詰め物や被せ物には、交換の目安になる年数がありますか?
自分の磨き方が悪いから再発したのでしょうか?
痛みがなければ、そのままにしておいてよいですか?
フロスが引っかかる場所は、必ず再発しているのですか?
やり直しになると、毎回大きく削ることになりますか?
まとめ|治した歯の原因は、歯と人工物の境目にある
治した歯がまた虫歯になる原因は、詰め物や被せ物そのものではなく、歯と人工物が接している境目にあります。段差とすき間、噛む力、年数と口の変化という三つの要素がその線に負担をかけ、細菌が入り込む余地が生まれます。
人工物の下は見えないため、色や痛みでは気づきにくく、気づいたときには範囲が広がっていることもあります。だからこそ、治療済みの歯は「終わった歯」ではなく「見ておく歯」として扱うことが役に立ちます。市川で治療歴のある歯が気になる方は、年数の古いものから順に確かめていきましょう。
治療・経過観察に伴う注意点
注意点
- 人工物の下の状態は見た目では分からないため、確認にはレントゲン撮影などの検査が必要になります
- やり直しの治療では、前回より削る範囲が広がることがあり、状態によっては神経の処置が必要になる場合もあります
- 材料や作り方を変えても、歯と人工物の境目そのものがなくなるわけではありません
- 定期的な確認は早期発見に役立ちますが、再発が起こらないことをお約束するものではありません
- 噛む力が関わっている場合は、装置の使用や噛み合わせの調整をご提案することがあります
おおよその費用
治療済みの歯の診査、レントゲン撮影、保険の材料を用いたやり直しの治療は、健康保険の範囲で受けられます。行った処置に応じて点数が積み上がり、そこに負担割合を掛けた分をご負担いただく形です。保険外の材料をお選びになる場合は自費診療となり、内容と金額を治療の前にご説明したうえで進めます。
当日の会計では、現金とクレジットカードのどちらをお使いいただいても構いません。
記載理由
医療広告ガイドライン(平成30年6月1日施行)の趣旨を踏まえ、治療済みの歯に起こる変化を理解してから受診するかどうかを決めていただけるよう、注意事項を記載しています。
※注意点の現れ方には個人差があります。
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監修 / 医療法人社団 翔翼会
理事長 村上 翔 - 私たちが実践するのは、あなたを“患者”ではなく「お客様」として丁寧にもてなすホスピタリティと、「大切な家族や友人にしてあげたい診療」です。大学病院レベル以上の設備と衛生環境を整え、一人ひとりのお客様に心から寄り添いながら納得していただけるベストな治療法をご提案してまいります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。治療済みの歯の状態や再発の起こり方は一人ひとり異なります。気になる場合は自己判断をせず、歯科医院での受診をおすすめします。
患者様の満足度調査を
実施しております。
少しでも患者様にとってより良い⻭科医療を提供するため、 第三者機関のNPO法人 日本⻭科医療評価機構に依頼をし、患者様の満足度調査を行っています。 患者様の率直なご意見をいただき、 改善すべき点は真摯に受け止めていきたいと思っています。当院には患者様の個人情報は一切伝えられませんので、是非、皆様の忌憚のないご意見をお聞かせください。NPO法人日本⻭科医療評価機構の調査結果はバナーよりご確認ください。
日本⻭科医療評価機構は、ネットで⻭医者を検索してみたが、どこに行けばいいか分からない、 診療時間や場所のメリットだけではなく、本当に信頼して通える⻭医者を探したい、 そんな患者様のために本当に信頼して通える⻭科医院を評価・認定することを目的とした組織です。