床矯正とは?歯列を広げる仕組みと装置の構造【市川】

お子さんの歯並びの相談で「取り外し式の装置で歯列を広げていきましょう」と言われ、まだ実物を見る前に「どんなものなのか知っておきたい」と思って検索された保護者の方へ。市川でお子さんと一緒に来院されるご家族からも、「床矯正って結局どういう仕組みで歯並びが良くなるのですか」というご質問をよくいただきます。ネジを回すと歯が動く、と聞いても、あごが広がるのか、歯だけが動くのか、なかなかイメージしにくいものです。

この記事では、床矯正(しょうきょうせい)の装置をいったん部品に分解し、それぞれの役割から「ネジを1回転させると口の中で何が起きるか」を順を追って解説します。固定式の拡大装置や、マウスピース型の小児用装置、保定用のリテーナーとの違いにも触れますので、装置を受け取る前の予習としてお読みください。仕組みが分かると、装着時間やネジ回しの指示の意味も自然と腑に落ちます。

床矯正とは?
装置を部品に分解して見る

床矯正の装置(拡大床)の部品構造イメージ|シティデンタルクリニック そよらリーフシティ市川

床矯正の位置づけ|取り外し式の拡大装置

床矯正は、歯科用のレジン(プラスチック)でできた「床(しょう)」と呼ばれる土台に、ワイヤーとネジを組み込んだ取り外し式の装置を使って、歯列の幅を少しずつ広げる矯正方法です。装置そのものは「拡大床」「床装置」とも呼ばれます。主に、乳歯と永久歯が混ざっている成長期のお子さんに、これから生えてくる永久歯の居場所をつくる目的で使われ、小児矯正のⅠ期治療(1期治療)を代表する装置の一つです。ブラケットとワイヤーを歯に接着するワイヤー矯正とは違い、自分で着け外しができる点が最大の特徴です。

4つの部品とそれぞれの役割

装置を手に取ると、ピンク色や透明の板に、細い金属線と小さなネジが埋め込まれているのが分かります。それぞれの部品には明確な役割があります。

部品 どこにあるか 役割
床(レジンプレート) どこに:上あごなら口蓋(上あごの内側の天井)に、下あごなら舌側の歯ぐきに沿う板 役割:装置の土台。歯の内側から歯列全体を支え、ネジの力を歯に伝える。ネジをはさんで左右または前後に分割されている
拡大ネジ どこに:床の中央に埋め込まれた小さな金属のネジ 役割:専用のキーで回すと床の分割面がわずかに開き、歯列を広げる力を生む。装置の「エンジン」にあたる
クラスプ(維持装置) どこに:奥歯に引っかける金属線 役割:装置が口の中で外れないよう固定する。奥歯にひっかかるだけで、歯を接着しているわけではない
唇側線(しんそくせん) どこに:前歯の表側を横切る細いワイヤー 役割:前歯を内側から支えたり、外に出た前歯を軽く押さえたりする。装置の安定にも役立つ

この4つのうち、歯列を広げる力を生むのは拡大ネジだけです。床は力を歯に伝える土台、クラスプは装置を口の中に留める部品、唇側線は前歯を支える補助部品と整理すると、装置の全体像がつかみやすくなります。

上あご用と下あご用の違い

上あご用の床装置は口蓋を覆う面積が広く、装着直後は発音がしづらく感じることがあります。その代わり床が安定しやすく、拡大の力を伝えやすい形です。下あご用は舌の動きを妨げないよう、舌側の歯ぐきに沿う細長い形をしていて、覆う面積は小さくなります。どちらを使うか、あるいは両方使うかは、歯列のどこにスペースが足りないかで決まります。

ネジを回すと何が起きる?
歯列が広がる仕組み

歯型の模型で歯列の幅の変化を確認するイメージ|シティデンタルクリニック そよらリーフシティ市川

ネジ1回転で口の中に起きること

拡大ネジは1回転で約1mm弱開く設計のものが一般的で、実際には「4分の1回転ずつ、数日に1回」のように細かく分けて回します。1回に開くのはわずか0.2mm程度です。その小さな変化が口の中でどうつながっていくかを、順番に見ていきます。

ネジを回す

専用のキーでネジを指示どおりの量だけ回すと、床の分割面がわずかに開き、床が左右(または前後)に広がります。

床が歯に触れる

広がった床がクラスプや床のふちを通じて歯の内側に触れ、歯を外側へ押す弱い力がかかります。

歯が傾く

歯を支えている骨(歯槽骨)の中で、歯が少しずつ外側へ傾き、位置を変えます。

余裕が生まれる

歯が動いた分だけ床と歯の間に余裕ができ、次にネジを回す余地が生まれます。これを繰り返して歯列の幅が増していきます。

スペースができる

広がった歯列に、これから生えてくる永久歯が並ぶスペースができます。

ここで大切なのは、力がかかるのは装置を着けている間だけだということです。外している時間は歯を押す力がなくなり、頬や唇の力で歯が元に戻ろうとします。だから床矯正では装着時間の指示が重要になるのですが、その具体的な管理方法は別の記事に譲ります。

「あごが広がる」のか「歯が広がる」のか

床矯正の説明でよく出てくる「あごを広げる」という言葉は、正確には少し注意が必要です。取り外し式の床装置が生む力は弱く、主に起きているのは、歯を支える骨の範囲内で歯が外側に傾いて歯列の幅が増す変化(歯槽性の拡大)です。成長期のお子さんでは、あごの骨がまだ変化しやすいため、歯列が広がることに骨がある程度ついてくると考えられていますが、あごの骨格そのものを大きく変える装置ではありません。この理解があると、「広げられる量には上限がある」「骨格のずれが原因の歯並びには別の方法が要る」ということが自然に納得できます。

固定式の拡大装置との違い

歯列を広げる装置には、床矯正のような取り外し式のほかに、奥歯にバンドで固定するタイプもあります。両者は「広げる」という目的は同じでも、力の強さや対象が異なります。

比べる点 床矯正(取り外し式) 固定式の拡大装置
着け外し 床矯正:自分で外せる。食事・歯みがきは装置なしで行える 固定式:外せない。装着期間中は付けたまま生活する
力の強さと速さ 床矯正:弱い力でゆっくり。数日に1回ネジを回す 固定式:比較的強い力で短期間に広げるタイプもある
主に動くもの 床矯正:歯が外側に傾く歯槽性の拡大が中心 固定式:装置の種類によっては、上あごの骨の継ぎ目に働きかける設計もある
向いている場面 床矯正:軽度〜中程度のスペース不足、本人が管理できる年齢 固定式:より大きな幅が必要な場合や、装着時間の管理が難しい場合など
管理のポイント 床矯正:装着時間の確保と紛失防止 固定式:装置まわりの清掃と、外れ・破損の確認

どちらが良い・悪いではなく、必要な拡大量、お子さんの年齢と性格、家庭の管理のしやすさで選ばれます。床矯正が候補になるのは、弱い力でゆっくり広げる範囲で目標に届く見込みがあり、本人と家庭で装着時間を管理できると判断された場合です。

似た装置との違い|マウスピース型・ムーシールド・リテーナー

取り外し式で口に入れる装置はほかにもあり、見た目が似ているため混同されがちです。乳歯列期の反対咬合などに使う筋機能訓練装置(ムーシールドなど)は、口の周りの筋肉のバランスを整えることが目的で、ネジで歯列を広げる装置ではありません。透明なマウスピース型の小児用装置は、決められた形に歯を導く設計で、こちらもネジによる拡大とは仕組みが違います。そして、矯正が終わったあとに使うリテーナー(保定装置)は、床とワイヤーでできていて外見が床矯正の装置とよく似ていますが、目的は「動かす」ではなく「動かさない」、つまり整えた歯並びを保つことです。同じ形でも、ネジの有無と目的で役割が正反対だと覚えておくと分かりやすいでしょう。

広げた歯列を保つには「周りの力」も大切

歯列の形は、歯を外側から押す唇や頬の力と、内側から押す舌の力のバランスの上に成り立っています。厚生労働省のe-ヘルスネットも、不正咬合の一つの型として、周囲の筋肉や舌の力のバランスが崩れることから生じる歯列弓(歯列の形)の異常を挙げています(参照:厚生労働省 e-ヘルスネット 用語解説「不正咬合」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-019.html )。床矯正でせっかく広げても、口呼吸や舌で前歯を押す癖が残っていれば、装置を外したあとに元へ戻ろうとする力が働き続けます。仕組みの最後のピースは、装置ではなく「広げた形を保つ環境づくり」なのです。

市川で床矯正の仕組みを
聞いてから決めるには

床矯正を検討する時期のお子さんの歯並びのイメージ|シティデンタルクリニック そよらリーフシティ市川

装置の仕組みが分かると、「なぜこの回数でネジを回すのか」「なぜ寝ている間もつけるのか」といった指示の理由が理解でき、お子さんに説明するときの言葉も持てるようになります。市川でご相談いただいたときは、次のように進めています。

  • 実物の装置や模型を手に取っていただき、床・ネジ・クラスプ・唇側線の役割をその場で確認する
  • レントゲンや歯型で、どこにどのくらいのスペースが足りないかを見て、床矯正で届く範囲かどうかをお伝えする
  • 取り外し式と固定式、どちらがお子さんに合うかを、必要な拡大量と管理のしやすさから一緒に考える
  • 口呼吸や舌の癖など、広げた歯列を保つうえで気になる習慣がないかを確認する
  • 装着時間やネジ回しの指示を、仕組みとセットでお子さんにも分かる言葉で説明する

当院(シティデンタルクリニック そよらリーフシティ市川)は、市川市内の商業施設「そよらリーフシティ市川」に入っており、お買い物と一緒に親子で通っていただけます。

  • 年中無休で夜まで診療しているため、学校や習い事の予定に合わせて通院日を選べます
  • 歯科用CTを完備し、埋まっている永久歯の位置や骨の厚みを確かめてから、広げられる量を見立てます
  • 個室の診療室で、装置を実際に触りながら落ち着いてご説明します。お子さまと一緒のご来院も安心です
  • 大人の矯正治療も扱っているため、Ⅱ期治療へ進んでも転院せずに続けられます
  • ご予約はネット・LINEから可能です。装置の破損や不具合のご連絡もお気軽にどうぞ

「装置がどんなものか、先に見てから決めたい」というご要望は大歓迎です。市川でお子さんの床矯正が候補に挙がったら、仕組みを理解したうえで納得して始めましょう。当院の小児矯正の考え方や装置の種類は矯正歯科のページに、Ⅱ期治療で使う装置についてはワイヤー矯正マウスピース矯正の記事にまとめています。

よくある質問

床矯正とはどんな装置ですか?
レジンの床に拡大ネジ・クラスプ・唇側線を組み込んだ取り外し式の装置です。ネジを少しずつ回して床を開き、歯列の幅を広げて永久歯が並ぶスペースをつくります。主に成長期のお子さんのⅠ期治療で使われます。
床矯正であごの骨は広がりますか?
取り外し式の床装置が生む力は弱く、主に起きるのは歯を支える骨の範囲内で歯が外側に傾いて歯列の幅が増す変化です。成長期には骨がある程度ついてくると考えられていますが、あごの骨格そのものを大きく変える装置ではありません。
拡大ネジはどのくらい回すのですか?
装置ごとに指示が異なりますが、4分の1回転ずつ数日に1回など、少しずつ回すのが一般的です。1回に開く量はわずかで、回しすぎると痛みや装置の不適合につながるため、指示どおりの量を守ってください。
床矯正とリテーナーは同じものですか?
外見は似ていますが目的が逆です。床矯正はネジで歯列を広げて「動かす」装置、リテーナーは整えた歯並びを「保つ」装置です。同じ形でも役割が異なります。
床矯正だけで歯並びは仕上がりますか?
床矯正が受け持つのは歯列を広げてスペースをつくる工程で、歯の向きや噛み合わせを細かく整えるには、永久歯が生えそろってからⅡ期治療が必要になる場合があります。見込みは検査の後にお伝えします。

まとめ|床矯正の仕組みは「ネジの力を床が歯に伝える」こと

床矯正とは、レジンの床・拡大ネジ・クラスプ・唇側線でできた取り外し式の装置で、ネジを少しずつ回して床を開き、その力を歯に伝えて歯列の幅を広げる矯正方法です。仕組みの中心は、歯を支える骨の範囲内で歯が外側に傾く歯槽性の拡大で、あごの骨格そのものを大きく変えるものではありません。固定式の拡大装置とは力の強さと対象が違い、リテーナーとは目的が正反対です。装置を着けている間だけ力がかかること、広げた形を保つには口の周りの力のバランスも大切なことを知っておくと、装着時間やネジ回しの指示が納得して守れます。

市川でお子さんの床矯正が候補に挙がったら、まず装置を手に取って仕組みを確かめるところから始めてください。

自由診療の副作用とリスク

副作用とリスク

  • 力がかかるのは装置を着けている間だけのため、装着時間が守られないと歯列の拡大が進まず、期間の延長や装置の作り替えにつながります
  • 着け始めの数日から数週間は、口蓋を覆う床による発音の変化や異物感、つばの増加を感じることがあります
  • ネジを指示以上に回したり、歯を支える骨の範囲を超えて広げたりすると、痛みや歯ぐきの下がり、歯のぐらつきを招くことがあります
  • 床矯正で得られる拡大量には上限があり、骨格が原因の歯並びには働きかけられないため、別の装置や方法が必要になることがあります
  • 歯列の幅を整えたあとも、歯の向きや噛み合わせの仕上げとしてⅡ期治療が必要になることがあります
  • 装置を外したあとに保定をしなかったり、口の周りの癖が残っていたりすると、広げた歯列が元に戻ろうとします

おおよその費用

床矯正は保険診療の対象外で、当院ではお子さんの矯正のⅠ期治療として料金を定めています。基本料金は装置の数と難易度で変わるため次の範囲となり、検査・診断料と来院ごとの調整料は別に必要です。

小児一期矯正(床矯正などⅠ期治療) 60,000〜300,000円

矯正精密検査+診断料 30,000円

調整料・観察料(1回) 5,000円

※Ⅱ期治療に進む場合や装置の再製作が必要な場合の費用は別途ご案内します。現金・クレジットカード・デンタルローン・院内分割の各方法でお支払いいただけます。

記載理由

医療広告ガイドライン(平成30年6月1日施行)に準拠し、お子さんの矯正治療を検討される保護者の方への注意事項として掲載しています。

※副作用とリスクには個人差があります。※全て税抜の金額を表示。

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村上 翔
監修 / 医療法人社団 翔翼会
理事長
私たちが実践するのは、あなたを“患者”ではなく「お客様」として丁寧にもてなすホスピタリティと、「大切な家族や友人にしてあげたい診療」です。大学病院レベル以上の設備と衛生環境を整え、一人ひとりのお客様に心から寄り添いながら納得していただけるベストな治療法をご提案してまいります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。装置の選択や治療計画は、お子さんの歯並び・あごの成長・生活の状況によって異なります。気になる場合は自己判断をせず、歯科医院での受診をおすすめします。

患者様の満足度調査を
実施しております。

少しでも患者様にとってより良い⻭科医療を提供するため、 第三者機関のNPO法人 日本⻭科医療評価機構に依頼をし、患者様の満足度調査を行っています。 患者様の率直なご意見をいただき、 改善すべき点は真摯に受け止めていきたいと思っています。当院には患者様の個人情報は一切伝えられませんので、是非、皆様の忌憚のないご意見をお聞かせください。NPO法人日本⻭科医療評価機構の調査結果はバナーよりご確認ください。

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